インタビュー

インタビュー(3):プラスチックごみを減らす

氏名:末光 早苗
プロフィール:愛媛県出身、現在イギリスのオックスフォード在住
日本とイギリスで総務や役員秘書を10年間経験し、2019年よりイギリスの大学院でビジネスマネジメントを専攻中の学生。
2016年に海洋プラスチックに関する翻訳を行い、プラスチック問題に興味を持つ。
2019年よりInstagram @sayonara.plastic でプラスチックをなるべく減らす生活を紹介。将来は、環境保全に関するビジネスを立ち上げるビジョンを抱く。

なぜ、プラスチックのゴミ問題に興味を持ちましたか?

2016年、海洋研究者の資料を翻訳するプロジェクトに関わったことがきっかけで、例えば「毎日どれだけのプラスチックのゴミが排出されるか」また「トロール漁業でどれだけのプラスチックゴミが底引き網にひっかかってくるか」などを知れば知るほど衝撃を受けたとのこと。また、自身が愛媛県出身で透き通るくらいのきれいな海に面した町で生まれ育ったため、昔見た魚を見かけなくなったことや海に浮くプラスチックゴミが気になっていたという経験が重なったことが大きなきっかけだと語ります。

現在、脱プラスチックを実践するにあたり、ご自身の生活で行っていることはありますか?

1)シャンプー・コンディショナー・ボディーソープは、すべて固形せっけんを使用

ほとんどの固形せっけんが350mlのシャンプー3本分だったりするので、とても長持ちする。そして、コンディショナーもあり、そのまま頭皮へつけて泡立てたり、手のひらで泡立てて髪へつけ洗い流すのだそう。

2) 歯ブラシは竹を使用

プラスチック製の歯ブラシに比べ、竹歯ブラシは値段がやや高いので大切に丁寧に磨くようになった。
最近は、竹の歯ブラシでブラシ部分が生分解性のとうもろこしを原料として作ったものもあるそう。
また、イギリスでは、普通のスーパーマーケットでも竹の歯ブラシを販売しているところが増えてきており、
比較的簡単に入るようにもなったと語る。

3)ばら売りの青果物やパスタ・米・ドライフルーツを購入

自宅の近くに、量り売り、バラ売りをしているスーパーマーケットがあるので、そこで購入をしている。
また、環境問題に意識を向けるようになってから、畜産業が環境に与える負担がとても大きいことに気が付き、
肉・魚は月に1、2回しか買わないそうです。

4)サランラップを使わない

サランラップはなければないで困らない。シリコンバッグまたは蜜ろうラップで代用している。
電子レンジで料理を温める際もラップの代わりに皿を載せたり工夫をしているとか。

5)洋服はチャリティーショップで購入

比較的きれいで新しいものを選んで購入している。安くてかわいいものもあるのだそう。

6)ペットボトルに入る飲み物は買わない

マイボトルを必ず持ち歩くようにしているので、ペットボトルに入っている飲料水は買わない。
また、大学では給湯室や水を補給するコーナーがあり、多くの学生がマイボトルを持っているそう。

7)布ナプキン・月経カップを使用

布ナプキンがベースで、外出時・旅行や量が多い時に月経カップを使用。
以前より、生理用品を製造する過程で石油を使用しているところが気になっていたとのこと。
2019年の夏より使い捨ての生理用品から布ナプキンや月経カップに切り替え、慣れてしまうと心地よいそう。

8)できるだけオーガニック食品を購入

オーガニック食品はやはり高いので毎回というわけにはいかないが、値下げをしている時などは意識的にオーガニック食品を選んでいるとのこと。そして、食品を腐らせると地球温暖化に繋がるメタンガスが発生することを知って以降、野菜の捨てる部分をなるべく減らすように努力をしているとのこと。そのため、オーガニックの野菜などが美味しいのはもちろんだが、有機栽培だからこそ安心して皮や根の部分を使用できることがゴミを減らすということにも繋がると語る。

9)旅行の際の液体用バッグはシリコン製を使用

頻繁に旅行に行くライフスタイルなので、空港のゲート前で配布している液体手荷物を入れるプラスチック製の袋は使用せず、中身が透けて見えるシリコンバッグを使用。スタッシャーというメーカーがおすすめと教えてくれました。

10)化粧品も工夫

化粧品製品はプラスチックを避けて通れない。しかし、なるべくプラスチックレスや自社リサイクルをしているようなメーカーのものを極力選ぶようにしているそう。

環境問題に関して、かなりリサーチをして勉強をしているようですが、これまで得た知識のなかで一番インパクトに残っている事実はなんでしょうか。

チャールズ・モアの「プラスチックスープの海」(2012年)を読んで知ったアホウドリについての情報が大変印象に残っていると語る。例えば、「ミッドウェー諸島は世界中のコアアホウドリの巣の70パーセントがあるが、毎年幼鳥が10万匹死んでおり、そのうちの40パーセントである4万羽はプラスチックの誤食が原因」ということだったり、「特にカラフルな使い捨てライターはアホウドリの大好物(餌に似ている)」という事実も衝撃的だった話してくれました。

ご自身で企業に意見を出すことをしているそうですが、具体的にそのことをお聞かせください。

これまで、スーパーマーケット・宝くじ・せっけんメーカー・カフェ・航空会社・飲料メーカーなどに約20通以上の意見・問い合わせをして来たそうです。実名でメールを出すことは勇気がいることだけれど、日本はお客様の声を大切にする文化がある。そして、声をあげないと伝わらないので、気が付いたらすぐに連絡をするようにしているとか。
また、意見・問い合わせをした企業から、意外と「今後検討します」というようなポジティブなレスポンスをもらえるそう。

サステナブルに取り組もうとしている日本の企業へ何かメッセージはありますか?

植物性パッケージとうたっていても、実際は植物性の素材を40%のみを使用していたり、脱プラスチックと言うけれど、プラスチックすべてが悪いわけではない。かといって紙が良いかというと、紙袋の多くが中国製のため、輸送時にかなりのCO2を排出している。何がベストなのかをさまざまな角度から見て考えるべきだと思うと語る。
また、例えばコンビニエンスストアで箸やスプーンの配布を止めることで、環境への負荷が減るだけでなくその分コストが削れる経営利点もある。環境に対して、もっと抜本的な行動を取れば理想だと思っているそう。

ABOUT ME
代表・編集長 鈴木聖佳
約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年にイギリスへ移住。3年弱、ロンドンの金融業界で勤務したのち、フリーランスとして活動を開始する。 オーガニックやナチュラルに特化した日本のオンラインショッピングプラットフォームの営業として、市場調査を行い、展示会に足を運び、約2000以上のブランドにアプローチをする。そして、多くの生産者やメーカーの日本市場への参入を支援する。 昨今は、「一人ひとりの健康のため、次世代に引き継ぐ地球環境のため、ほんとうに良いものを広めたい」という思いのもと、日本の有機農家や自然活動家のPRに携わり、NHK報道番組やその他の専門雑誌、新聞などのメディアで取り上げられるように尽力している。オーガニックプレスでコラムを執筆中。現在、約10年間のロンドンでの生活を経て、シンガポールに在住。 ビオナチュラ&コーの立ち上げストーリ及び実績はこちら
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